this worthless life

思ったことをそのまま書きます

映画『麦秋』 感想

北鎌倉が舞台になっている映画に、是枝裕和監督の『海街ダイアリー』がある。

吉田秋生の原作漫画が大好きなせいか、この映画には違和感があった。

漫画とは別物だと思った。まずキャスティングに問題があった。長女は綾瀬はるかのような柔和な女性ではない。凛として芯の強い女優にしてもらいたかった。長澤まさみは最適だった。

当たり前の話だが、ストーリーが凝縮されていた。原作は一人ひとりの人生がもう少し細かく語られている。

鎌倉の美しい風景が非常に印象に残った。

小津安二郎の映画『麦秋』を観て、是枝監督はこういう世界観を描きたかったのだと思った。北鎌倉に住む、普通の人々の何気ない日常。鎌倉の風景。日本の美しさ。

日本の伝統。品のいい言葉遣い。品のいい女性。周りに流されないで、自分の考えをしっかり持った女性。終戦からしばらく経った日本。家族の在り方。年をとって子供たちがそれぞれの道を選んだ後のその先。

懐かしい言葉を耳にしました。

はえちょうの中にコロッケがあるから」

はえちょう」 あったなぁ。子供の頃、食事の上に蝿が来ないようにカバーをかけていた。

「大和はまほろばじゃ」

まほろば。

親が思うように子供は道を選んでくれないものです。

親が思い描いた結婚相手ではなかった。

娘が嫁いだ後、父親と母親がつぶやく言葉。

「今が一番いい時期かもしれない」

最後に写真屋さんに来てもらって家族写真を撮ります。

昔はこういう撮り方をしてもらっていたんだなぁ。、

昔の映画女優さんは、品が良くて美しくて生活臭が全くなくて、本当に女優さんでした。

日本の良さを描いた映画です。

さぁ、この辺で本を読もう!

 

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映画『嫌われ松子の一生』 感想

以前から観たかった映画。中島哲也監督の『嫌われ松子の一生

中島哲也監督の映画を最初に観たのは『下妻物語』。これが非常に面白くて素晴らしかった。ロココ調のファッションや刺繍の好きなロリータ深田恭子とヤンキー土屋アンナが絶妙だった。

そしてその後観たのは湊かなえの『告白』。松たか子が狂ったような先生を演じて、これまた素晴らしかった。

嫌われ松子の一生

中島哲也監督は天才です。ティムバートン監督の『シザーハンズ』を思わせるような、色鮮やかな景観。空の青色。緑の芝生。黄色や紅の花。そしてあたたかな音楽。それがこの不幸で孤独な松子の人生と素晴らしく調和していた。

おばさんが亡くなったと父親から連絡を受ける。川のそばで殺されたらしい。そして甥は松子おばさんの人生を様々な人から知らされる。

松子おばさんのことを不器用な形でずっと愛していた教え子。

神の愛とは何ですか

あなたは心底人を憎んだことがありますか。

その人たちのために心の底から祈れますか

人間の心は弱いものです。

でも神の力にすがればそれができるのです。

教え子は不器用で不幸せな松子のことを神様だと言った。

人は誰かに何かをしてもらうよりも、誰かに何かをしてあげた方が大切なのだ

もしこの世に神様がいて、それがおばさんのよう人を笑わせ、人を元気づけ、人を愛しだけど自分はいつもボロボロに傷つき、孤独でファッションも全然いけてなくて、そんな決定的にどんくさい人なら、おれはその神様を信じてもいいと思う。

ノートに書かれた

『生まれてきてすみません』

良い映画を観たな、と余韻が残る大好きな映画です。

 

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人生初の着信拒否

携帯電話を利用し始めてかれこれ10年以上になると思う。

初めて『着信拒否』をした。人生初の着信拒否。それも絶対にしてはいけない人に。

多分その人も、ビジネス上で着信拒否されたのは初めてだと思う。

詳しいことはブログでは書きたくないが、何をどう考えてもその人が悪い。

100歩譲って私にも非があるとすれば、1%にも満たないと思う。だいたい私は顧客だ。『接遇マナー』を少し前まで教えていたが、この人に教えてやりたい。『個人情報保護法』も教えていたが、それも教えたい。事務員の隣で、ドアを開けっぱなしにして私の個人情報を大声で怒り叫ぶこの人はいったい何様だ。知られたくない個人情報を事務員を隣において話した。事務員は私の顔を観ながら笑っていた。何なの?腹が立ったから居留守を使って電話に二度ほど出なかった。すると10倍返しが返ってきた。

そして着信拒否をした。

着信拒否をしていたこの数週間、非常にハッピーだった。メンタルは安定するし、何よりも履歴が残らない、それがすごくいい。着信拒否は履歴が残らない。問題が一つある。今度その人と会うときどんな顔をしたらいいのだろう。

それが昨日だった。

ドアを開けた瞬間、にっこり笑って「おっはようございまーす」と言ってやった。

「はい」と言ってから神妙な面持ちで

「先週ずっと電話をしていましたが繋がりません」

「携帯電話が壊れていました」

「じゃあ、どこに電話をすればいいんですか」

「直りました」

本当は「チョーむかついたので着信拒否をしてました。私誰かからDVをうけたみたいなんですぅ」と笑いながら言いたかったのだが、蛇ににらみつけられたカエルは、そんなことはできない。

非常に重苦しい雰囲気が続いた。

7月からこの半年、その人と出会ってから私の精神状態はボロボロになった。仕事を辞めてやりたいことがいっぱいあった。それができなくなった。自分の生きてきた人生を見直すきっかけを作った。

そして自分が今していることが非常にくだらなく思えた。何もかもがくだらなく思えた。

昼ドラの黒柳徹子の人生は面白いけれど、なぜ朝ドラはつまらないのか。

私がその人に出会ってからの半年のほうがよっぽどドラマチックだった。

その辺のつまらない映画を観るより、私の半年のほうが面白いぞ。

書きたい。

ブログじゃない何かに。初めてそう思った。

14日に事務所に行くのが最後になるだろう。

着信拒否した後だから、今度は拷問が待っている。

本当は「固くお断りします」と言うつもりだったのだが、なぜか行くことになった。

事務員さんがお茶を持ってきた時「いりません」と断ろう。

それくらいのささやかな抵抗はしよう。普通に考えたら大喧嘩になるだろう。向こうは怒り狂って大声で叫ぶのは目に見えている。

おもしろき こともなき世を おもしろく

それを適当に面白くあしらってみたい。

電話は直りました、と言ったから電話がかかってきたらどうしよう(笑)

 

 

森絵都『みかづき』 感想

久しぶりにパソコンを開いた。

今まで何をしていたのだろうと考えると特に何もしていない。

『ELLE』という嫌いな映画を観て、感想を書く気にもなれず、題名を忘れたが、後味の悪い小説を読んで、感想を書く気にはなれず。

23日からの4日間京都と高野山に行っていました。

高野山の感想はまた書きます。

森絵都みかづき

森絵都の小説は『カラフル』とか『リズム』とか、どちらかと言えばジュニア向けのようで好きではなかった。
この本はTSUTAYAの座り読みで何気なく手にとって読んだ本だった。三分の一ほど読んだところでけっこう面白いんじゃないか、と思い、図書館で14人待ちの状態で予約をしてやっと借りることができた。
後味のいい小説は読んで気持ちがいい。結構好きでした。
文部省を否定して塾の必要性を見出し、塾にすべての情熱をかけた女性。温和な夫。三者三様の子供たち。そして塾を否定した孫。
結果的に人間の根底にある芯の部分がしっかりしていれば、たとえどんな道に行ってもしっかりと生きることはできるんじゃないか。
なぜ教養が大事か。何かを自分で選択するとき、インテリジェンスが必要になるのではないか。
勉強嫌いだった三人娘の一番下の子にしたって、父親から「英語ができるようになれば世界を見ることができる」と教えられ、彼女は彼女なりの人生を歩むことができた。
自信のない孫は、ちょっとしたことから勉強を教えることに意味を見出す。

塾の経営から身を引いて弁当屋になった次女は潔かった。
性格も生き方も違う人たちが、それぞれ教育に関する考え方を語ります。
 塾を辞めさせられ、身を引き、世界を見て回り、そして見聞を広め、笑って家族と接することのできるこの夫は理想的ですね。

『フラニー/ズーイ』 感想

日曜日に『ブレードランナー2049』を観に行った。

その前の日、偶然以前bsで録画しておいた『ブレードランナーファイナルカット版』があったので聞いたら「名作だからDVDを購入した」と言ったので、削除する前に観ておいた。うーん、私にはいつまでたってもブレードランナーの良さが分からない。ファイナルカット版と劇場公開版はラストの風景が違うが、どちらかと言えば劇場公開版のラストのほうが好きだ。ファイナルカット版は部屋を出ていくシーンで終わる。劇場公開版は草原が広がる道を車で走り抜けるシーンで終わる。

それで『ブレードランナー2049』

うーん、☆3.5くらいかなーと思っていたら、隣に座っていた人が「非常につまらんものに仕上がっていた。あれはライトノベルか?SFとしたらお粗末だ」と言いながら出てきた。車に乗ると、運転しているあいだ中「だいたい放射能が強く残っているのに20年も生きられるわけないだろう。あんな廃屋のホテルで、なんで電気がつながっているんだ。あそこで蜂を育てていたが育つわけないだろう」「あれ蜂だったの?蜂は太陽と植物がないと無理だから何かの虫かと思ったけれど」「蜂だ。箱があっただろう。生命体を何だと思っている。周りがいつも暗かったけれど、時間設定は夜に限定しているのか?」話を聞いていたら、☆3.5がぶっ飛んでしまった。

それで映画『ブレードランナー2049』の感想は書かずに、昨日読み終えた『フラニー/ズーイ』の感想を置こうと思います。

サリンジャーは精神状態がまともな時に読まないと大変なことになってしまう。『ライ麦畑でつかまえて』は精神状態が最悪な時に読んで、とてつもなく鬱屈した気分になってしまった。今は比較的正常です。

サリンジャーは『ライ麦畑でつかまえて』が有名ですが、『フラニー/ズーイ』のほうが個人的には断然好みです。我が家にあったのは『原田敬一訳』。古いせいか『かたわ』という差別用語が何度も出てきます。『豆博士』の番組に出ていた博学で容姿端麗な家族。聡明ゆえに様々な矛盾や欺瞞に気付いてしまう。両親やフラニーの恋人、大学そして社会。彼らは相手が社会的に見て素晴らしい人間 を望んでいる。誰に紹介しても恥ずかしくない人間。そんな異常な中で自分たちはこんな『かたわ』に育った。どうすれば幸福ないい子になれるのか。まわりは欺瞞に満ちている。

<太った婦人>のために靴を磨け。<太った婦人>のために滑稽であれ。だれもが<太った婦人>なんだ。

最初はフラニーの異常な会話から始まりますが、この小説のかなりの部分をフラニーとズーイの会話で占めています。

紛れもなく名作です。この小説を読んでサリンジャーをもっと読みたくなりました。

 

 

 

いつも音楽があった

 今週のお題「私の癒やし」

10月初めからつい最近までこの3週間、完全にメンタルをやられていました。

数ある箱からなぜこの箱を選んだのか。とんでもないババを引いてしまった。

ストレスから呼吸困難の過呼吸症候群になり、右手指が痺れ、手をぶらぶらさせて強く息を吸ったりはいたりしていました。夜は眠れなくなり息は苦しい。ふわふわの羽根布団にくるまれていたい気分なのに、じっとしていると様々なことを考えてしまう。お坊さんQandAサイトhasunohaを読みながら何とか生きる指針を見出そうとし、すべてのことには意味があるのだと考えようとしました。最近やっと精神状態が元に戻りつつあります。やはり思い出すと呼吸が苦しくなりますが。

その間、hasunohaサイトを読みながら聞いた曲。音楽はいいですね。最高の癒しです。

 

まず ジュディコリンズ「both side now」

Both Sides Now(青春の光と影) - Judy Collins - 訳詞付き

この曲を一番よく聞きました。

太陽からみた雲と地上からみた雲。どちらから見ても雲のことはよくわからない。月と6月と観覧車。太陽と月がずっと繰り返すように、6月(アメリカの卒業式のシーズン)と新たな出会いも繰り返され、観覧車も回り続ける。若い頃は夢や未来の計画やサーカスを見るようにドキドキした驚きや楽しさが人生にあった。思うような人生ではなかったかもしれない。人生はどこから見ても私にはわからない。

 

スケーターデイビス 『この世の果てまで』

The End Of The World - Skeeter Davis - 訳詞付き

次によく聞いたのがこの曲。

 

ダイアナロス 『マホガニーのテーマ』

Do You Know Where You're Going To - Diana Ross - 訳詞付き

ダイアナロス全盛期の頃、ネスカフェのCMで使われていました。

 

ベットミドラー『the rose』

The Rose - Bette Midler (歌詞字幕)English & Japanese Lyrics

昔々、深夜放送でよく流れていました。

 

音楽は究極の癒しです。若い頃聞いた音楽は身体に染みついているせいか、どうしようもなくなった時生きていくチカラになりました。

 

 

 

 

 

 

 

映画 『あゝ、荒野』 感想

寺山修司は好きではなかった。

若い頃、『書を捨てて町へ出よ』を購入して読んだ記憶があるが、中身は全く覚えていない。何がいいのか全く分からなかった。

ひと昔かふた昔前に『田園に死す』が名作だからと言われ、レンタルビデオ?(まさか購入していたのだろうか?)を観たが、うっと暗い不気味な映画で全く理解できなかった。寺山修司とは二度と関わりたくないと思った。

10月の3連休に寺山修司好きの配偶者から『あゝ、荒野 前編』の映画を観に行こうと誘われ、暇だったからついていった。退屈だったから。

あしたのジョーみたいだから」

あしたのジョー』は私は知らない。

寺山修司(嫌い)× ボクシング(興味ない)

1人だったら絶対に観ない映画だった。

これが、予想に反して大当たりでした。

そして昨日後編を観てきました。

今年観た最高の日本映画でした。

父親の自殺。そして母親に捨てられ、成長してからは老人相手の振り込め詐欺をしていた。あるとき友人に裏切られ、自分は少年院に移送され、別の友人は半身不随になってしまう。外に出てきた時、天涯孤独になった彼はボクシングジムの前でチラシをもらう。同じくチラシを見て希望してきた散髪屋の吃音の青年がいた。

友人を憎んで復讐するためにボクシングを始める新次。自分を変えたいためにボクシングを始める健二。

強く憎んだ方が勝つ。

前編は新次と健二の孤独な過去の話になります。そして死にたい人を集めてほう助して、公開自殺をしようとする自殺研究会の人たち。

そして後編。

競馬場のシーンから始まります。

「馬の隣に書いてある名前は?」

「馬の父親と母親の名前だ。馬は血統が大事だから、血統のいい馬が勝つ。しかし俺は血統なんか気にしないで、そうじゃない馬に賭けるんだ」

「そのまま行け!ほら!勝ったじゃないか!」

「俺は負ける奴は嫌いだ。運のないやつも嫌いだ」

前編で出てきた人たちが後編では全て何てらかのつながりがありました。

孤独な人間たち。やるせない思いをボクシングに賭ける新次。

生まれ持った血統なのか才能を表す健二。健二の根底にある贖罪。そして新次の根底のどこかしらにあった憎悪。

新次の脳裏に、屋久島のような場所で白い鳥を見ている姿が現れます。

本当はボクシングじゃなく、そんな自然の中の平和な姿を望んでいた。

「ふりかえってみても夢はない」

憎むことによって勝ち進んできた新次。

生まれ持った才能はあるが、憎むことのできなかった健二。

孤独に生きる人たちの姿が描かれています。

今年ナンバーワンの日本映画でした。 

菅田 将暉を初めて見たのは、さだまさしの自伝ドラマでしたが、あっという間に良い俳優になりましたね。