this worthless life

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「たんぽぽ娘」ロバート・F・ヤング 感想

 

講師という仕事は時給がいい。時給がいい理由として、何時間もかけて授業の準備を家でしなければならない。それに朝の生徒が質問や自主勉強のため遅くまで教室に居るので、それに付き合えば昼休みなんてごくわずかしかない。ベクトルは完全に仕事に向いていた。往復通勤時間にかかる3時間もの電車の中で、私はいったい何をしていたのだろう。ストレスで眠れなくなっていた。

仕事を辞めて家の本棚にある本を読みだした。『夏への扉』を勧められた。SFかぁ。SFは星新一くらいしか読んでない。社会を皮肉ったような切れ味のいい文章が好きだった。あとNHKの少年ドラマシリーズが好きだった。眉村卓はドラマでしか知らない。本は読んでいない。筒井康隆も。「筒井康隆はSF作家だが、SFだけではない。あの人の知識量は半端なく凄い」。『夏への扉』を読んだ。これが抜群に面白かった。「前から読め、読め、と言ってたのに」。余裕がなかったんだよ。じゃぁ次はこれがいい、と勧められたのが『たんぽぽ娘』。感想は「人生損していたな」。”『ビブリア古書堂の事件手帖』にも登場の”と帯に書いてますが、私はビブリア古書堂の事件手帖は読んでいません。しかし、たんぽぽ娘は名作です。そして彼がこんなロマンチックなSF小説を気に入っていた、と思えば笑えてきます。『夏への扉』は長編小説ですが(彼が言うには長編ではない。長編とは花神のような小説だ)、たんぽぽ娘は短編小説がいくつか入っている中のひとつです。短編小説がたくさん入っている中でどれがいい?と聞かれてもほとんどいい、としか答えようがありません。

視点をちょっと変えてみる。さすればこういう世界が見えてくる。そんな小説です。「たんぽぽ娘」に関していえば映画「ターミネーター」の初回のような小説です。ターミネーターの初回ってアクションもあったけど愛の映画だったんですよ。たんぽぽ娘に入っている短編のいくつかは深い愛を感じさせる小説です。もちろんどれもSFですけれど。ほんとうにどの短編もいいんです。読んでもらいたいのでネタバレはやめときます。それとこの作家は情景描写が非常にうまい。話の内容もいいのですが非常に美しい小説でした。