this worthless life

思ったことをそのまま書きます

「ライ麦畑でつかまえて」 30年以上の時を経て完読後思うこと

「うちの家にはどうして”ライ麦畑でつかまえて”が2冊もあるの?」

「〇〇(息子)が攻殻機動隊サリンジャーのセリフがいっぱい出てくるからと、持ち帰ってきた。家にあったのに。ハードカバーのほうは俺が中学1年の時に読んだ本。探せばもう1冊ある。村上春樹訳の本。野崎孝一のほうが評判がいい。ジョンレノン暗殺の犯人が手に持っていた本がこれ。レーガン大統領暗殺の犯人のホテルにあった本もこれ。サリンジャー自体は隠遁生活をおくっていたらしいけれど。全部読んでないのなら読むべきだね。これは教養だ。印象にも残ってないし、何とも思わなかったけれど」

 

この本を初めて知ったのは16,7の頃。ラジオの深夜放送で本の話をしていた。それで話題になったのがカフカの『変身』。もう一つが『ライ麦畑でつかまえて』。カフカの変身は短編小説なので読みやすかった。『ライ麦畑でつかまえて』は図書館で借りてきたけれど、途中まで読んで返却した。全部は読んでいなかった。あの頃の私は長い小説が読めなかった。

そして30年以上も経ってこの本を読むことにした。そこには若かりし頃の私がいた。口には出さなかっただけで、ずっと思っていたことが活字となって、主人公は私自身だった。

私は中学2年まで勉強のよくできる優等生だった。中学2年の後半から、自分でもよくわからない大きな重圧が押し寄せて勉強を全くしなくなった。結果、内申書がひどく悪くて志望校を落とすことになった。全く勉強をしないでトップクラスで合格をした。ここの学校は馬鹿ぞろいだと思った。低能ぞろいの学校で全く勉強をせずに3年間を過ごし、ビリから2番で卒業した。英語だけはそこそこよかった。勉強をしていたのではなく、勉強をしなくても英語だけは中学校の貯金だけでやっていけた。他の人が馬鹿すぎた。

私は低能ぞろいの高校で劣等生になった。

劣等生になって思ったことは

上から下は見えないけれど下から上はよく見える

ということ。そして偽善欺瞞に敏感になった。人の言うことは聞かない方がいい。

 

この話は退学になってから家に帰るまでの数日間のことを書いたものです。

特に盛り上がるということもありません。私から見ればごくごく普通のまともで非常に孤独な16歳です。他の人からは、

でたらめで人生の方針を持っていない

と思われています。堕ちたくない。誰かに助けてもらいたい。彼はいつも本音を話します。インテリジェンスのある同級生。外側の形を気にする女の子。

相手は蔑視と同情で主人公と接してきます。

「君は何もかももうたくさんだっていう気持ちになったことあるかい。」

「こっちでなんか手を打たないと、何もかもつまんなくなってしまいそうだっていう、そんな不安を感じたことないかね?」

君、こんなところから飛び出したくないかい?僕と一緒に行ってくれるだろう。お願いだよ。

大学なんか行ったりした後では、すばらしいとこへなんか行けやしない。全然かわっちまうよ。

彼は聡明で大人になることがどういうことかをよくわかっています。

本当に心配をしてくれている信用できる先生には

たいていの場合はたいして興味のないようなことを話し出してみて、初めて何に興味があるかがわかるってことなんです。

 ジャックニコルソン主演の『カッコーの巣の上で』。

精神病棟の話ですが、最後の最後で「話したくないから話さない」人がいました。

みんなは僕をかわいそうなおしでつんぼの男と思ってほおっておいてくれるんじゃないか。

人は興味本位で多くのことを詮索したがる。そして人を見下すことで安心をする。

この本を読みながら悲しくて泣きそうになりました。共感したのではない。あまりにも自分が嫌な大人になりすぎて、情けなくて悔しくて悲しくなりました。

 

この本を読んで何がどう変わることはありません。世の中はそういうもの。どうあがいてみても世の中はそういうふうにできている。人間とはそういうもの。

 

紛れもなくこの本は名作です。

 

ちなみにこちらもおすすめします。

 

カッコーの巣の上で [DVD]

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