this worthless life

思ったことをそのまま書きます

『永遠も半ばを過ぎて』 中島らも 感想

最近好きになった作家、中島らもさんの本を読みました。

らもさん独特の孤独な人々のとらえ方やユーモアはやはり秀逸です。

劇団を辞め写植をなりわいとする羽多野。詐欺にあい、先祖代々の会社も土地も手放してしまい、自分自身が詐欺師になった相川。売れない前衛芸術家キキ。大きな出版社で働く美咲。心のどこかに絶望感をかかえながら、しっかりと生きようとしている人たち。

生者っていうのはそんなに誇らしいものですかね。おれは、岩や水のほうがうらやましい。生きているっていうのは異様ですよ。みんな死んでるのにね。異様だし、不安だし、水の中でもがいているような感じがする。だから人間は言葉を造ったんですよ。

 

わがまま言うんじゃないわよ。あなたは、失うことに我慢できないのね。でも、失うなんて、錯覚よ。あなたは不幸でいるのが好きなだけなのよ。

 

この本に出てくる人は誰もが不幸です。そして誰もが大きなものを失っています。それでもしっかりと生きている。

らもさんの小説はガダラの豚もそうでしたが、最後に『面白い』というのが残ります。そしてらもさんの博学には本当に敬意を表します。

永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)

永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)