this worthless life

思ったことをそのまま書きます

本「スクラップ・アンド・ビルド」 羽田圭介 感想

たまたま付けたテレビに羽田圭介さんが出ていて、最近出演しているミュージカルの話をしていました。ファンの人から頂き物をするけれども、その人たちは自分の本を読んでいないと嘆いていたので、今更ながら代表作「スクラップ・アンド・ビルド」を読んでみようと思い、図書館で借りてきました。

感想は、この人好きかも。彼独特のアフォリズム。若い世代の中では最も好きな作家かもしれない。中島らもさんのふざけたような文章を読んだ後だったせいか、ピリッとした硬派な小説でした。

無職で行政書士の資格を目指して勉強をしている健斗。「身体が痛い」「死んだ方がいい」と、口癖のように訴える同居をしている祖父。ならば楽に死ねるように手助けをしてあげよう。

被介護者の動きを奪うのが一番現実的で効果的だよ。人間身体を動かさなくなると、身体も頭もあっという間にダメになる。筋肉も内臓も脳も神経も、すべて運動をしているんだよ。過剰な足し算の介護で動きを全部奪って、全部いっぺんに弱らせることだ。使わない機能は衰えるから。要介護3を5にする介護だよ。

 その日から健斗は祖父の仕事を取り上げ、できる限り自分がしてあげようとし、祖父に楽をさせて動きを鈍らせようとする。そして自分自身は最も忌むべき祖父のようにならないように、筋力トレーニングに励む。無職の彼は祖父を蔑視していた。しかし祖父は自分のためにあれやこれやと面倒を見てくれる孫を非常に心配をしていた。

健斗はじいちゃんが死んだらどげんするとね。

ある事件がおき、祖父の心の奥底には「生きたい」「死にたくない」という願望があることに気付く。

そして 健斗自身、祖父が楽に死ねるためにとしていたあらゆる行為が、自分の成長につながっていたことに気付く。

終わり方も非常に良かったです。祖父は健斗のことを深く心配していた。祖父の優しさ。

そして車窓から見る風景。車内の人々の描写。

桜マークの「大変よくできました」のスタンプを押したいくらい好きな小説でした。

これぞ芥川賞!!