this worthless life

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bsプレミアム 黒澤明『羅生門』 感想

黒澤明の『羅生門』を観てひどく感動をして、すぐさま青空文庫で『藪の中』を読みました。

短編なので、短時間で読めました。
まず国府の侍の死体が発見されます。

多襄丸。国府の侍の妻。巫女の口を借りたる死霊。
三人がすべて違う話をします。

多襄丸

多襄丸は名高い盗人。たとえ絞首刑になろうとも「卑怯な殺し方はしていない」「女が頼んだから」と自分に都合よく語りだす。その辺の小さな盗人とは自分は違う。名高い盗人としての自尊心があった。

国府の侍の妻

国府の侍の妻は「自分は犯された」と卑下している。「夫は蔑んだ目で自分を見ている」「蔑視されたから、やりきれなくて自分が殺した」と語りだす。これは女性としての、侍の妻という自尊心からそう語りたかった。

巫女の口を借りたる侍の死霊。

侍としての立場から、まさか、盗人ともめて殺されたなんて恥だ。それで自分に都合よく、妻のせいでこんなことになったと語りだす。これはたとえ死んでも侍としての自尊心があった。

それぞれが自分の都合よく語りだす。

人間てこういうものだろうて思います。

誰もが自尊心を持っていて、これだけは守りたいというものがある。

大正時代の物語だから、余計にこういう思いがあったのだと思います。

多分、最初に芥川龍之介の『藪の中』を読んでも意味が分からなかったと思います。

黒澤明の『羅生門』の映画を観て、人間の持つ自尊心について考えさせられました。

小説と違うところは最後に、芥川の『羅生門』の小説のラストが重なっている。

そしてもう一人の語りがある。(これ重要)

この語りとラストですべてが分かったような気がします。

黒澤明は凄く良い。巨匠です。雨の音。木々の光。太陽。

映画って本当にいいなと思いました。